第9章 委任契約の清算
第45条 委任契約の中途終了
1. 着手金は、弁護士が委任契約に基づく事件等に実際に着手した後は、本条第2項、第3項に定める場合を除き、原則として、事由の如何に拘わらず返還はしないものとします。
- 委任契約に基づく事件等の処理が、解任、辞任又は委任事務の継続不能により、中途で終了したときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、又は、弁護士の判断により、委任事務処理の程度に応じて、受領済みの弁護士報酬の一部を返還し、又は弁護士報酬の一部を請求します。但し、弁護士費用を返還する場合には、特段の事由のない限り、受領済みの弁護士報酬から事件処理に要した実費等を控除した残額の2分の1を、返還額の上限とします。
- 委任契約に基づく事件等の処理が、事案の性質・弁護士の事件処理の内容等により早期に終了した場合で、弁護士が着手金の相当額を返還すべき場合と判断した場合には、依頼者と協議の上、その一部を返還するものとします。この場合の返還額は、受領済みの弁護士報酬から事件処理に要した実費等を控除した残額の3分の1を、返還額の上限とします
3. 前項 i. において、委任契約の中途終了につき、弁護士のみに重大な責任があるときは、弁護士は受領済みの弁護士報酬の全部を返還しなければならないものとします。ただし、弁護士が既に委任事務の重要な部分の処理を終了しているときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、その全部又は一部を返還しないことができます。
4. 第2項 ii. の場合において、委任契約の終了につき、弁護士に責任がないにもかかわらず、依頼者が弁護士の同意なく委任事務を終了させたとき、依頼者が故意又は重大な過失により委任事務処理を不能にしたとき、その他依頼者に重大な責任があるときは、弁護士は、着手金を返還せず、かつ、弁護士報酬の全部を請求することができます。ただし、弁護士が委任事務の重要な部分の処理を終了していないときは、その成功報酬の全部については請求することができません。
第46条 事件等処理の中止等
1. 依頼者が着手金、手数料又は委任事務処理に要する実費等の支払いを遅滞したときは、弁護士は、事件等に着手せず又はその処理を中止することができます。
2. 前項の場合には、弁護士は、あらかじめ依頼者にその旨を通知しなければならない。
第47条 弁護士報酬の相殺等
1. 依頼者が弁護士報酬又は立替実費等を支払わないときは、弁護士は、依頼者に対する金銭債務と相殺し又は事件等に関して保管中の書類その他のものを依頼者に引き渡さないでおくことができます。
2. 前項の場合には、弁護士は、すみやかに依頼者にその旨を通知しなければならない。